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若院のつぶやき

STAY HOMEに思うこと

コロナウィルスの影響で緊急事態宣言が出され、家族がこれまで以上に一緒に時間を過ごす機会が増えています。ただし、良いことばかりでないという話は良く聞きます。「在宅勤務中に膝の上に乗ってきたりして仕事に集中できない」、「在宅勤務中の夫を邪魔しないよう、子供を静かにさせたり公園を回ったり、子供と夫の帳尻を合わせるのにへとへと」、「旦那が育児や家事そっちのけなので、イライラする」、等、家族が一緒に過ごす時間が増えることによる弊害があちらこちらで散見されています。また、一説によると、在宅勤務や外出自粛の増加で家庭内DVや虐待の被害も増加傾向にあるとも言われています。せっかく大切な家族と一緒に過ごす時間が増えても、ストレスやDVで家族の絆が弱まってしまうのは非常に残念なことと言えます。

仏教では、人を苦しませる苦しみを8つに分類しています。8つの苦しみの内の1つに、「愛別離苦」という苦しみがあります。この「愛別離苦」とは、愛する人と離れなければならない苦しみです。人は、産まれてから死ぬまでの間に数多くの出会いと別れを経験します。出会いがあれば、必ず別れがあります。そして、別れる相手に対する愛着が強いほど、別れた時の喪失感や虚しさは強くなります。「大好きな恋人に振られた」、「愛する伴侶と死別した」や「子供と死に別れた」など人生には多くの辛い別れが存在します。この別れの際に生じる喪失感による苦しみを「愛別離苦」といいます。愛別離苦は、必ず起こります。だからこそ、一緒に大切な人と過ごせる時間は非常に貴重だと言えます。

せっかく家族と一緒に過ごす時間が増えたのに、家族の絆が弱まってしまうのは非常にもったいないと思います。家族と一緒に過ごすことで増えるストレスの原因は、「自分の思い通りにいかないことが増える」ことにあります。その「自分の思い通りにいかいことを減らす」ためには、努力が必要です。自分が「考えていること」と「感じていること」を相手に伝える、そして相手が「考えていること」と「感じていること」を聴く、そしてお互いに歩み寄る努力です。お互いが、歩み寄り少しずつ変わることができればストレスに感じている在宅状況も心地の良い時間に変わるのではないかと思います。