当寺院には、広島市の重要文化財に指定されている懸仏(かけぼとけ)が所蔵されています。
その中には、金銅円盤懸仏、銅円板懸仏、そして金銅円板懸仏が含まれています。これらの懸仏は、古代から現代までの信仰の対象としての重要な歴史的価値を持っています。
懸仏とは、鏡面に神像や仏像を取り付けたり、線刻で表現したものであり、信仰の象徴として大切にされてきました。神仏習合の時代背景の中で生まれ、鎌倉・室町時代にかけて特に盛んに作られました。これらの懸仏は、当時の人々の信仰心と工芸技術の高さを今に伝える貴重な遺産です。
当寺院の懸仏は、その美しい造形と歴史的背景から、広島市の重要文化財に指定されました。
当寺院の懸仏は広島広域観光情報サイト「ひろたび」にも紹介されています。
文化財
金銅円板懸仏
指定重要文化財
順教寺に安置される3点の懸仏のうち、一番大きなもので、金銅円板に、彩色された木彫りの仏像が取りつけられています。懸金具部分の作り方などから、この懸仏が作られたのは室町時代初期のこととされています。
ただし、中に取りつけられている三体の仏像は後に補われたもので、江戸時代末か明治時代初め頃に作られたようです。制作当初は、おそらく三体の仏像も金銅製のものだったと考えられます。
- 所在地:広島市安佐北区白木町市川1244(順教寺)
- 指定年月日:昭和53年2月13日
- 概要:円板経34cm(但し木彫三尊仏を除く)
銅円板懸仏
指定重要有形文化財
順教寺にある他の二つの懸仏に比べて非常に素朴な感じを与える懸仏です。中央の坐像は、「押出造り」ですが、蓮座やその下の波の文様、仏の背後にある光背などは、鋼円板の表面に細い線を彫って表現した簡素なものです。また、銅円板は半円状のものを二枚を継ぎ合わせて作られています。裏面には木板が張りつけてあり、ごく簡単な裏書きが残っていました。おそらく室町時代末頃に作られたものと考えられます。
- 所在地:広島市安佐北区白木町市川1244(順教寺)
- 指定年月日:昭和53年2月13日
- 概要:円板経34cm(但し木彫三尊仏を除く)
金銅円板懸仏
市指定重要有形文化財
この懸仏の中央の仏像と、左右の花瓶は、銅円板を槌などで裏から叩き、押し出して作られています。この押出造りは、円板周囲の装飾や、懸輪を取りつける金具部分、花瓶の下の花の文様などにも見られます。裏面には木板が張りつけてあり、そこに文明6年(1474)4月15日に、物部太郎惣左衛門という人が、この懸仏を八幡神社に寄進したという内容の墨書きがされています。このことから、この懸仏は室町時代の中頃に作られたものであり、当時は神社に仏を祭るということが行われていたことがわかります。このような裏書きのある懸仏は県内でも珍しく、貴重な資料となっています。
- 所在地:広島市安佐北区白木町市川1244(順教寺)
- 指定年月日:昭和53年2月13日
- 概要:円板経34cm(但し木彫三尊仏を除く)