どうやったら法名は貰えるのか?
この前、お寺の住職さんと話す機会があり法名を授けてもらいたいと考えるようになりました。法名はどうやったら貰う事ができるんでしょうか? (門徒Yさんからの質問)
これは、最近私も疑問に思っていた事です・・。タイムリーな質問Yさんありがとうございます。
この質問、門徒の方から良く受ける質問だね。よし、それじゃ~今日は法名の収得方法について説明しよう。
目次
法名の収得方法について
法名の習得方法は、大きく分けて2種類あります。死後に収得する方法と生前に収得する方法です。
死後に習得する際は、葬儀の前に法名収得の儀式である帰敬式を行い導師が法名を故人の方にお授けします。
生前に授与する際は、西本願寺で行われる帰敬式に参加することで法名を授与していただけます。
なるほど~法名は西本願寺で貰えるんですね。でも、そもそも帰敬式どんな事をするんですか、フミオ住職?
さすがナヤムさん、良い質問だね。それじゃ~帰敬式て何なのか説明しよう。
帰敬式とは
帰敬式とは、一般の在家信者が浄土真宗の門徒としての自覚を新たにし今後、仏の教え(法)に従い力強く生きていくことを誓う重要な儀式です。僧侶の修行を積み正式に仏門に入る儀式を得度といいます。帰敬式は、この得度に準ずる儀式とされています。
帰敬式の由来は、「仏に帰依敬礼の意をあらわすためのもの」であると一説にはされています。また、帰敬式は信徒の頭の上にカミソリをあて行う儀式なので、別名「おかみそり」とも呼ばれます。あくまで、儀式であり実際にお坊さんのように剃髪されるわけではなく刃の無いカミソリを髪にあてるところで手を止めます。
ちなみに、浄土真宗で剃髪することは、利養(りよう)、名聞(みょうもん)、勝他(しょうた)という3つの髻(もとどり=しゅうちゃく)を断ち切ることと考えられています。「利養」は金銭欲や物欲にまみれること、「名聞」を人からの名声を強く欲すること、そして「勝他」は自分と他者を比較して常に他者に勝ろうとすることを意味します。剃髪することは、こういった3つの執着を捨てる誓いが込められてもいるわけです。
ふむ、ふむ、帰敬式て仏さまに敬意を表し、仏の教えに従い浄土真宗の信徒として生きていくことを誓う儀式なんですね。
そうなんだよ。さらに、帰敬式は本願寺で行われご門主から直接法名を授けてもらうから気持ちも新たに仏教徒として頑張ろうという気にもなるんだ。
でも、帰敬式てどんな流れで行われるんですかね??
さすが、ナヤムさん。それも、気になるよね。それじゃ~帰敬式の主な流れについても説明しよう。
帰敬式の主な流れ
帰敬式では、信徒が三帰依文(さんきえもん)を唱えて、門主からおかみそりを受け、法名を授与されるという流れで進みます。三帰依文とは、仏教の三宝(仏・法・僧)を拠り所にし生きていく事を宣言する誓いの言葉です。三帰依文は、南無帰依仏(なもきえぶつ)、南無帰依法(なもきえほう)、南無帰依僧(なもきえそう)という3つの誓いの言葉で成っています。
この三帰依文を帰敬式では最初に唱えるわけです。その後、ご門主からお剃刀をお受けします。おかみそりではご門主が信徒の頭の上にカミソリをあてられます。その後に、ご門主がそれぞれの信徒の方に向けてお考えになった法名を授けられます。
帰敬式は、1日に午前と午後の2回執り行っています。そして、帰敬式には所属寺院を通じて申し込むことができます。成人が15,000円、未成年が1万円で行っています。また、特に希望する法名(文字)がある場合、 所属寺院住職を通じ法名を申し込むこともできます。
詳しくは本願寺の公式サイトをチェックしてください。
そうなんですね、住職。法名の収得のしかたが良く分かりました。ぜひ、私も法名が収得したいので申し込みをお願いします。
ナヤムさ~ん、熱心だね。そんなに浄土真宗に思いをはせてくれるなんて、嬉しいよ。それじゃ~本山にナヤムさんの法名の申込をしておくよ!
著者:釋 文雄(しゃく ぶんゆう)浄土真宗本願寺派 順教寺 住職
1948年に生まれ、1960年に得度を受け、1974年には寺院の住職の資格を得る。以後、本願寺派の布教使としての活動を開始。1977年に当寺院の第14代住職に就任し、現在に至る。浄土真宗本願寺派の僧侶として、50年以上の経験があり、布教使として各寺院や講演会での法座の登壇回数も延べ1,000回を超える。これまでの、浄土真宗僧侶としての経験を踏まえて仏教や浄土真宗の教えを伝えるために「教えて住職さん」のブログの情報発信を行う。