お彼岸てどういう意味なの?

先日、お彼岸でお墓参りに行ってきました。そこで、ふと「お彼岸の彼岸てどういう意味なのか?」という疑問が頭をもたげました。色々調べましたが、要領を得る回答が見つかりませんでした。なので、ぜひ住職に教えてもらいたいと思います。(門徒K.Sさん)

ナヤムさん
ナヤムさん

う~ん。そう言われてみるお彼岸は良く使う言葉ですけど、その意味て良く分かっていませんでした。

そう、そう。言葉の本当の意味を知らずに何気なく、当たり前のように使っている言葉てあるよね。よし、それじゃ~今日はお彼岸の意味について解説しよう。

フミオ住職
フミオ住職

彼岸とはどういう意味?

「彼岸」は仏教用語であり、さとりを開いた状態や阿弥陀如来が住む世界の事を意味しています。

一方で、彼岸に対比される言葉として此岸(しがん)があります。此岸とは、我々が住む世界の事を表しており、仏教では迷いの世界や煩悩の世界としています。

古来より、仏教では彼岸に到達する事(さとりの境地に到達する事)を究極的な目標としてきました。これを「到彼岸(とうひがん)」や「波羅蜜(はらみた)」といいます。

古来から仏教の求道者は、生きながら到彼岸できる方法を実践していました。この実践方法を六波羅蜜と言います。

六波羅蜜では、到彼岸できる修行を6つに分類していました。下記に6つの修行を記載します。

  • 布施(ふせ)波羅蜜:見返りを求めず、他人のために善行を施すこと
  • 持戒(じかい)波羅蜜:戒律を守り、身を慎み、他人に迷惑をかけないこと
  • 忍辱(にんにく)波羅蜜:身に起こる災いを受け容れ、耐えしのぶこと
  • 精進(しょうじん)波羅蜜:誠心誠意努力を続けること
  • 禅定(ぜんじょう)波羅蜜:常に静かな心を持ち、動揺しないこと
  • 智慧(ちえ)波羅蜜:怒りや愚痴、貪りに捉われず、物事の真理を正しく見極めること

これらの修行をすることで、求道者はさとりに至れると信じていました。

そして、その実践期間として特に3月の春分の日、9月の秋分の日を中日として、その前後3日ずつの1週間が適した時期だと考えていました。

なぜ、春分の日と秋分の日が「彼岸」の修行をするのに適していると考えられたのか?

理由は、仏教では彼岸(お浄土)が真西に存在すると古来から考えていたためです。古来から人は、太陽の軌跡に人生をなぞらえていました。

そのため、朝日が昇る東の方向に「命の始まり」を思い、夕日が沈む西の方向に「命の終わり」を感じていました。

そして、命の終わる西の方角に彼岸(お浄土)があると考えていました。1年の中でも特に春分と秋分は、太陽の軌跡が真東から真西へ移動することから、阿弥陀さまの西方浄土が最も我々が住む世界に近づく時期だと考えていました。

そのため、特にこの時期が仏道修行をするのに適した時節だと考えていました。そのような背景があり、3月の春分の日と9月の秋分の日を中日として、その前後3日ずつの1週間をお彼岸と呼ぶようになりました。

お彼岸時期の浄土真宗における修行の考え方

浄土真宗では、自らの力や努力で彼岸に到することができるとは説いていません。それどころか、自らの力や努力をあてにする行いが新たな苦(深い迷い)を生む原因になると説いています。

そのため、お彼岸時期に、「六波羅蜜」などの修行を実践することを推奨していません。

浄土真宗は、お念仏すること(称名念仏)こそが「到彼岸」の道と説いています。念仏することで、私達を迷いから救ってくれる大きな働きに目覚めることができ、その目覚めが「到彼岸」に導いてくれると説いています。

そのため、浄土真宗の寺院では彼岸会などを彼岸時期に催しますが、その彼岸会の場をお念仏と聞法(仏さまの教えを聞く)場ととらえています。

ナヤムさん(納得)
ナヤムさん(納得)

は~~。そうなんですね。彼岸には、さとりを開くという意味やお浄土という意味があったんですね。

そうねんだよ。そして、何より重要なのはこの時期に仏教の教えについて傾聴するということなんだよ。

フミオ住職
フミオ住職
ナヤムさん(納得)
ナヤムさん(納得)

住職、今回も勉強になりました。ありがとうございます。

ナヤムさん
ナヤムさん

所で、もともとお彼岸はさとりを開く機会のような意味合いだったと思うんですが、なぜこの時期にお墓参りもするようになったんですか?

は、は、は。ナヤムさん、色んなことに興味があるね。さすがだね。そのことについては、次回解説しようかな。

フミオ住職
フミオ住職

著者:釋 文雄(しゃく ぶんゆう)浄土真宗本願寺派 順教寺 住職

1948年に生まれ、1960年に得度を受け、1974年には寺院の住職の資格を得る。以後、本願寺派の布教使としての活動を開始。1977年に当寺院の第14代住職に就任し、現在に至る。浄土真宗本願寺派の僧侶として、50年以上の経験があり、布教使として各寺院や講演会での法座の登壇回数も延べ1,000回を超える。これまでの、浄土真宗僧侶としての経験を踏まえて仏教や浄土真宗の教えを伝えるために「教えて住職さん」のブログの情報発信を行う。